
MORIUMIUS Farm&Wineryの土づくり日記① ~サステナブルな農業へのチャレンジ~
MORIUMIUS Farm & Wineryでは、津波による甚大な被害を受けた宮城県石巻市雄勝町で、官民連携しながら町の未来を育む活動の一環として、リジェネラティブ農業*により生物多様性溢れる農地をつくり、微生物や自然発酵からなるワインや食品造りを通して、こどもと町にサステナブルな未来を届けることを目指しています。この取り組みがこども達の学びの場となり、未来の雄勝町に持続可能な循環をもたらすよう願いを込めて活動しています。
*リジェネラティブ農業 : 有機物が豊かな土壌を古来の方法でつくり、CO2を貯留し、気候変動を抑制することを意識した農法。不耕起栽培・有機肥料・堆肥などを活用することで、栄養価の高い食物が期待できると言われ世界的に注目を集めています。
[ MORIUMIUS Farm & Wineryの挑戦の裏側 ]
この活動は、まちの約8割を失ってしまった宮城県石巻市雄勝町の土地で、住民の小さな活動が多くの関係人口を巻き込んで「津波被害の土地を、花と緑で多くの人が集まる場所に」という壮大なプロジェクトへと発展してきました。この壮大なプロジェクトの一環として現在MORIUMIUS Farm & Wineryが取り組んでいるのが、自社農園ワイナリーの構築です。
今回は、その基盤である土づくりについてご紹介します!!
[土づくりについて(どんなことをやってきたか)]
これまでファームでは、「農業を通じてたくさんの人を巻き込み、町の未来を少しでも明るく」という想いで約600名と共に2023年春から土づくりを実践してきました。

まずは牡蠣殻石灰をまくことで、酸性土壌を中和し作物にとって良い土壌の基盤造りを行いました。そして、地元の竹を炭にして漉き込むことで微生物を集める効果を狙うと共に、世界的に広まる4パーミルイニシアチブ*の一環として、温暖化対策になる施策も取り入れています。その土壌でソルガム*の種を蒔き育てることで、有機物の豊かな土壌へと変えて行きます。育ったソルガムを刈り、それを後に緑肥*とすることで次に栽培する主作物の肥料としました。また、ローカルフードサイクリング社と連携し、全国の家庭約350世帯分の生ごみを堆肥にしたものを集めて土に入れ、地力を高めています。
作物の成長に必要な三大栄養素の窒素・リン酸・カリを豊富に含み、肥料効果に優れた鶏糞や、土壌を中和し作物の成長を支える石灰まきも欠かせません。最近では地元の籾殻と乳酸発酵させた牛糞を混ぜて堆肥とすることで、物理性・生物性・化学性の3つが整った良質な土へと改良を重ねてきました。
このようにボランティアや専門家の方々と共に試行錯誤しながら、リジェネラティブな土壌への挑戦を続けてきました。
*4パーミルイニシアチブ:2015年のCOP21で提唱された取り組み。世界の土壌表層の炭素量を年間4パーミル増加させることで、人間の経済活動などによって増加する大気中の二酸化炭素を実質ゼロにするという考え方で、農業分野から脱炭素社会の実現を目指す。
*ソルガム:モロコシ・タカキビ・コーリャンなどと言われるイネ科の穀物。
*緑肥 : 新鮮な緑色の植物そのものを土壌にすき込み使用する肥料のことを指します。緑肥として栽培した作物は収穫せずに土壌にすき込み、次に栽培する主作物の肥料成分として活用します。

上記のような豊かな土壌で育てるぶどうや小麦、ハーブなどの植物は、発酵の力を借りながら、ワインや食品に加工して行きます。
また、ワイン作りに必要な醸造所や地元の海の幸を活用した食品加工のための施設、レストランなど「農と食」をテーマとした豊かな場も今後計画しています。そのような豊かな場を作るためには、さまざまな知見、価値観をもった人たちに関わっていただくことが必要です。
こどもも大人も、農業を知らない人も、県内外や海外の人も巻き込むことで「人の手で自然を蘇らせることができる」という体験をこれからも多くの人と共に実現し、サステナブルな未来に挑戦し続けます。

[ハーバードビジネススクールの学生が土づくりに参加]
昨年からたくさんのボランティアの方と一緒に土づくりを進めてきましたが、2024年1月20日には、ハーバードビジネススクールが70名ほどで訪問して石炭まきに参加してくださいました。被災地におけるソーシャルイノベーションを体感するために2013年より毎年訪問してくださっています。
このようにファームでの農業を通じて、自然再生と町の持続性を一緒に実現していく仲間を随時募集しています。

[豊かな循環を一緒に見守り造る『農園主』1月末まで募集中!]
リジェネラティブな土壌で育てる、ぶどう7種類(赤ぶどう:ピノノワール、メルロー、ツヴァイゲルト / 白ぶどう: マルヴァジア、ピノグリージョ、ゲベルツトラミネール、シャルドネ)約1300本の苗木の植樹やその際に必要な資材を始め、水はけをよくする暗渠*やビニールハウス設営などのファームの取り組みに参画する農園主の募集を行っています。
今回募集する農園主は、雄勝町の土地や自然の再生を一緒に見守り、実現していく仲間だと考えています。人間の力が集まれば自然は再生できるのだという明るい未来をこども達に示し、リジェネラティブ農業をまずは日本に、いずれは世界にも発信していきたいという想いがあります。
今後は、こどもも大人も楽しみ学ぶ「農や食」をテーマとした、ワイン醸造所や海の幸を活用した食品加工施設などを造る計画です。
*暗渠(あんきょ):地下に埋設した水路のこと
<「農園主」申し込み方法>
こちらのサイト(URL:https://tinyurl.com/ynq33fgb ) からお申し込みください。